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ここから実際にWindows PE 2.0を利用したリカバリ用起動ディスクの作成手順を解説する。今回は、USBメモリではなく、環境を選ばずに利用できるCD/DVD版のWindows PEを作成してみる。
Windows PE 2.0を入手する(Windows自動インストール・キットのダウンロード)
Windows PE 2.0を利用したリカバリ用起動ディスクを作成するためのキットは、Windows自動インストール・キット(Windows Automated Installation KitあるいはWindows AIK。以下WAIK)として配布されている。これは以下のダウンロード・センターのページからダウンロードできる。
日本語版WAIKのインストール・パッケージは約700Mbytesと大きいが、これにはWindows PE 2.0が丸ごと含まれている。Windows PEを作成するのにWindows Vistaのインストール・メディアは必要ない。
ダウンロードできるファイル形式はISOイメージ・ファイルなので、DVDメディアなどに書き込むか、仮想ドライブにマウントして使用する。
リカバリ用起動ディスクの作成環境を構築する
Windows PE 2.0によるリカバリ用起動ディスクを作成するには、その作業を行うためのPCを用意する必要がある。この作業用PCにWAIKをインストールして、Windows PE 2.0を作成してリカバリ用起動ディスクにする。以下では、WAIKをセットアップする手順を説明する。
■WAIKのセットアップに必要な環境
WAIKのインストール先ハードディスクには、WAIK自体のインストールだけで1Gbytesほど必要なので、作業領域と併せて2Gbytesほどの空き容量は必要だろう。
OSはWindows XPやWindows Server 2003でもよいが、本稿ではWindows Vistaを使用する。Windows XPやWindows Server 2003を使用するには、OSのサービス・パック(Windows XPはSP2以降、Windows Server 2003はSP1以降)と追加コンポーネント(.NET Framework 2.0とMSXML 6.0)、修正プログラムのインストールがそれぞれ必要である。WAIKのインストール時のメッセージやリリース・ノート(WAIKのISOイメージの¥README.RTF)を参照していただきたい。なお、Windows 2000ではWAIKを利用できない。
作業用のPCにはCD/DVDライタがあれば便利だが、必須ではない。WAIKを使って作成したリカバリ用起動ディスクは、ISOイメージ・ファイルに書き出される。CD/DVDライタを備えたPCが別途あれば、完成したISOイメージ・ファイルをそのPCでメディアに書き込めばよい。
。isoファイルを焼く方法
■WAIKのインストール
用意した作業用PCにWAIKをインストールするには、WAIKのインストール・メディアから自動起動させるか、メディア内の¥StartCD.exeを起動して、[Windows 自動インストール キットの開始]を開く。そこから[Windows AIK セットアップ]をクリックして、インストーラを起動する。インストール・ウィザードで選ぶのはインストール先フォルダくらいなので、難しいことはないだろう。
インストールが完了したら、WAIKのインストール・メディアはもう必要ない。
■Windows PE Toolsコマンド・プロンプト
WAIKをインストールすると、[スタート]メニューに[Microsoft Windows AIK]が登録される。リカバリ用起動ディスクの作成には、このメニュー内の[Windows PE Tools コマンド プロンプト]を使う。使うといっても、このメニュー項目をクリックするだけでは、コマンド・プロンプトが開くにすぎない。Windows PE 2.0の作成は、このコマンド・プロンプト内でいくつかのコマンドライン・ツールを使って行う。GUIのツールは用意されていない。
残念ながら、コマンドライン・ツールは日本語化されていないものもある。だがシンプルなリカバリ用起動ディスクを作成するだけなら、次に解説するように、定型的なコマンド入力だけで済む。英語のままでも恐れる必要はないだろう。
なお、コマンドライン・ツールには管理者だけが実行可能なものもあるので、[Windows PE Toolsコマンド プロンプト]は右クリックして[管理者として実行]を選んで開く必要がある。
リカバリ用起動ディスクのイメージ・ファイルの作成
リカバリ用起動ディスクのイメージ・ファイルは、次のような手順で作成する(点線で囲われた項目は省略可能な作業)。
それぞれの手順について、以下に解説する。作業フォルダは、C:¥WinPEを例として用いる。
■作業フォルダを作成する(copype)
まず、イメージ・ファイルなどを格納するための作業フォルダを作成する。これには、[Windows PE コマンド プロンプト]でcopypeコマンドを実行する。使い方は下表のとおり。
本稿では32bit(x86)アーキテクチャのPC向けにWindows PE 2.0を作成し、また作業フォルダとしてC:¥WinPEを使用するので、以下のように実行する。作業フォルダC:¥WinPEはcopypeコマンドによって自動的に作成されるので、先に作成してはいけない。
システムショック2 Windowsの互換性
copypeの実行が完了したら、C:¥WinPEの下にはISOフォルダとmountフォルダが作成されているはずだ。これらがリカバリ用起動ディスクの原型となる。具体的には、リカバリ用起動ディスクそのものの内容がISOフォルダ以下に、Windows PE起動後のシステム・ドライブの内容がmountフォルダ以下に、それぞれ構築される。詳細は後述の「ISOフォルダとmountフォルダ」で説明する。
■WIMイメージからWindows PEを展開する(imagex /apply)
copypeで作業フォルダを作成したら、次に、Windows PEをWIMイメージからmountフォルダに展開する。これには、[Windows PE コマンド プロンプト]でimagex /applyコマンドを実行する。
本稿では作業フォルダがC:¥WinPEなので、imagexのコマンドラインは以下のようになる。実行すると、展開が完了するまでしばらく時間がかかる。
imagex /apply C:¥WinPE¥winpe.wim 1 C:¥WinPE¥mount |
imagex /applyの実行が完了したら、C:¥WinPE¥mountフォルダには、Program FilesフォルダやWindowsフォルダが作成されているはずだ。これらがWindows PEのシステム・ファイルである。
■オプション機能を追加する(省略可能)
Windows PEには、WMIサポートやWSHサポートなどのオプション機能があり、必要に応じて追加できる。オプション機能が不要であれば、この手順は省略してもよい。
●オプション機能のインストールの確認(peimg /list)
Windows PEにインストールされているオプション機能を確認するには、[Windows PE コマンド プロンプト]でpeimg /listコマンドを実行する。
本稿ではC:¥WinPEを作業フォルダとしており、Windows PEをC:¥WinPE¥mountに展開しているので、コマンドラインと実行結果は以下のようになる。
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インストールされているオプション機能の確認 | |
Windows PEのオプション機能がインストールされているかどうかは、peimg /listコマンドで確認する。出力された表の左から3列目が「+」であれば、そのオプションはインストール済み、「-」であれば未インストールである。デフォルトでは日本語のサポートだけがインストールされている。 |
オプション機能は「パッケージ」という単位で扱われる。peimg /listの出力の[インストール]列における「+」はオプション機能のパッケージがインストールされていることを、「-」はインストールされていないことをそれぞれ表す。
オプション機能のパッケージ名とその機能は、以下のように対応している。
デフォルトでは日本語のサポートだけがインストールされているので、必要に応じてオプション機能をインストールする。
●オプション機能のインストール/アンインストール(peimg /install、/uninstall)
オプション機能をインストール/アンインストールするには、[Windows PE コマンド プロンプト]でpeimg /installとpeimg /uninstallコマンドを実行する。使い方はそれぞれ下表のとおり。
本稿の例(作業フォルダがC:¥WinPE)で、WSHをインストールするには、次のように実行する。
peimg /install=WinPE-Scripting-Package C:¥WinPE¥mount¥Windows |
逆にアンインストールするには、次のように実行する。
peimg /uninstall=WinPE-Scripting-Package C:¥WinPE¥mount¥Windows |
オプション機能のパッケージ名とその内容については、前述の「オプション機能のインストール/未インストールの確認(peimg /list)」を参照していただきたい。
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